民法436条の文の構造がようやく分かった話

行政書士試験学習も民法に入り、なかなか苦労しています。

決して難しくはないけれども、腑に落ちるまで掘り下げて理解しようとするとどんどん深みにはまっていくということを繰り返し、おかげで問題集をこなすスピードは行政法をやっていた頃の半分以下にまで落ちています。

しかし民法の学習においては、この腑に落ちるというのが重要だと考えています。というのも、外っ面だけ理解したつもりでも芯になる考え方を理解しないままだと、「じゃあこの場合はどうなる?」とちょっと変えたパターンで聞かれるととたんに対応できなくなってしまいます。そして実際の試験でもそのような問われ方をする問題が多いようです。

ちなみに行政法についてはそこまで深い理解は必要なくて、外面だけの理解である程度対応できるという感触です。

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この条文が分からない

それで今は債権を学習中でして、多数当事者間の債権・債務というところに入っています。その中でどうも腑に落ちない条文がありました。

それがこれです。

第四百三十六条 債務の目的がその性質上可分である場合において、法令の規定又は当事者の意思表示によって数人が連帯して債務を負担するときは、債権者は、その連帯債務者の一人に対し、又は同時に若しくは順次に全ての連帯債務者に対し、全部又は一部の履行を請求することができる。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089

この「債権者は、その連帯債務者の一人に対し、又は同時に若しくは順次に全ての連帯債務者に対し」の部分が何だか分かったような分からないような、そんなもやもやを抱えながら学習を進めていました。特に「又は」と「若しくは」についてどういう意図があって使い分けているのか、そのあたりが分かりませんでした。

意味としては何となく理解できるけど、文章の構造がどうも腑に落ちないという感じでした。

それがさっきふと、何がきっかけか分かりませんが急に見えるようになりました。一度見えてしまえば、分からなかったときの感覚がもはや思い出せない・・・という事はなく、「又は同時に若しくは順次に」の部分を繰り返し眺めると、やっぱり分かりにくいw

そもそも、これが分かりにくいと言っている自分の頭が悪いだけという可能性も否定はできませんが。

文構造を見てみる

ということでこの文構造を解説してみます。まずは骨格部分として

(修飾語)
① その連帯債務者の一人に対し
又は
② 全ての連帯債務者に対し
↓
(被修飾語)
履行を請求することができる。

という構造になっています。そして②については、どのように履行を請求するのかがさらに場合分けされていて

(修飾語)
②-1 同時に(全ての連帯債務者に対し)
若しくは
②-2 順次に(全ての連帯債務者に対し)
↓
(被修飾語)
履行を請求することができる。

という構造になっているだけの話でした。これが分かってしまえば「又は」と「若しくは」を使い分けている事も何となく腑に落ちる気がします。

ということで、文構造を意識してカッコと改行を使って書いてみると

債務の目的がその性質上可分である場合において、法令の規定又は当事者の意思表示によって数人が連帯して債務を負担するときは、債権者は、

【その連帯債務者の一人に対し】、
又は
【{(同時に)若しくは(順次に)}全ての連帯債務者に対し】、

{(全部)又は(一部)}の履行を請求することができる。

最後の行も「又は」でパターン分けされていたので、これについてもカッコを付けておきました。多少マシにはなった気がするものの、我ながらまだ分かりにくい。

法律の条文は分かりにくいが

法律の条文は、あらゆるものを無理やりに文章にしているようなところがあるので、理解が難しいと思えるものが少なくありません。

「いやいや、図にしてくれよ」とツッコミを入れたくなることも2度や3度では済みません。

一方で、図にすれば一発のようなものを無理矢理に文章にしなければならなかったという苦労も垣間見えます。ここで挙げた「又は」と「若しくは」の使い分けも恐らくその一端であろうと思います。これについては僕の勝手な解釈なので、間違っていたらスミマセン。

このような、先人の苦労に思いを馳せながら学習を進めるのもまた一興です。

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