「頑張れ」ということ

去年亡くなった伯父の事を思い出しました。

伯父は伊勢に住んでいて、とても努力家でした。
子供はなく、計測機器会社の社長をしていました。
ぼくが尊敬して、目標とする人でもありました。

ぼくがお見舞いに行ったのは6月、そのときは入院からすでに数ヶ月経っていました。
元気だった頃の面影はほとんどなく、すっかりヨボヨボのおじいさんになっていました。
最初に伯父の顔を見たとき、病室を間違えたかと思ったぐらいです。

伯父はぼくに会えたのが嬉しかったようでたくさん話がしたいようでしたが、身体がもうボロボロでろくにしゃべる事もできないような状態でした。

部屋に入ってきた看護婦さんがぼくを見て「息子さんですか?」と聞き、ぼくは「いえ、甥です」と答えました。
するとしばらくして、伯父がぼそっと「息子でもいいな」なんて言って、みんなを笑わせてくれました。

伯父は見舞いに来たぼくに「伊勢神宮を見ておいで」と言ってくれました。
本当は伯父が自分で案内したかったんだと思います。
ただ自分はもう動く事ができないから、一人だけでも行っておいでということだったんだと思います。
お見舞いに来たのに観光とはいかがなものかとも思いましたが、伯父の気持ちを汲んで病人を一人残して出かけました。

でも、純粋に観光を楽しむとはいきませんでした。
出かけている間に伯父に何かがあったら・・・なんて、そんなドラマみたいな事があったら嫌だと思って早足で色々見て回りました。
幸い、病院に戻ると伯父はすやすやと眠っていました。
伯父の快復を祈って買ってきたお守りを渡すと、それを自分の腕に通して嬉しそうにしてくれました。

さて、ここでタイトルのお話しです。
伯父の様子を母に電話すると、母から「頑張れって伝えてあげて」と言われました。
でもその時の伯父は、すでに限界をはるかに超えて頑張っているように見えます。
母の気持ちも分かるのですが、ここでさらに外から「頑張れ」と声をかけるのはあまりに残酷だと思い、この言葉は結局伝えませんでした。
代わりに、時間はたくさんあるからもっとのんびりしていいんじゃないのかということを言った覚えがあります。

どうも日本人は病気の人に対して「頑張れ」と言う習慣があるようですが、ぼくは頑張る必要はないと思います。
むしろそんなに頑張らないでもっと楽にして欲しい、のんびりして欲しいというのがぼくの思いです。
そうは言っても、言葉の意味をどう捉えるかは人それぞれだと思うので、これが正解というものはないと思います。

最後の帰り間際、伯父はぼくの手を握りながら目に涙を浮かべて「ありがとう、ありがとう」と何度も繰り返していました。
ぼくも何と言ってあげたらいいか分からず「元気になれるよう祈ってます」とだけ言いました。

それから10日ほど経って、伯父は亡くなりました。
伯父はあのときの別れが最後になると分かっていたのでしょう。
ぼくもそんな気はしていました。
それでも元気になって欲しいと思っていましたが、その願いはとうとう叶いませんでした。

お葬式の時に、初めて伯父の部屋に入りました。
本棚には政治経済や歴史の本、あと電気工学関係の本がびっしり。
その中から何冊かもらって帰りました。

何だか纏まりのない文章になってしまいました。
ごめんなさい。

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コメント

  1. sa-monpink より:

    「生きるということ」
    ツバメの件、以来すごく考えさせられます。
    この記事を読ませて頂いて、素直にcremonaさんお優しい方なんだなと感じました★
    伯父様も本当の息子のように思われていたんだなと思いました。
    「頑張れ」
    私もこの言葉を言う時には、すごく気を使います。cremonaさんのおっしゃる通り、本人さんは頑張っているのに、これ以上頑張れというのは酷なんじゃないかとも思います。
    鬱の方にもこの言葉はタブーですしね。
    叔父様は、この世でずっと頑張って来られて、ようやくゆっくりとした天国にいかれたんだと思いますよ。

  2. debop より:

    しみじみと読ませて頂きました。
    何分の一かは叔父さんの子供であるとも
    言えますよね。
    思い出をずっと大切にできるといいですね。
    (こちらからもリンク張らせていただきますね。)

  3. cremona2003 より:

    sa-monpinkさん
    頑張れっていう言葉は、体力的または精神的のいずれかに余裕がない場合には使うべきでないですね。
    他人に対してはもちろんのこと、自分に対しても。
    自分に対してというのが特に難しい気がします。
    伯父も今はのんびりとしていることと思います。
    ただ、元気な時に会いに行ってやらなかったのが心残りです。

  4. cremona2003 より:

    debopさん
    伯父とは住んでいる場所が離れていたというのもあって、あまり会う機会はなかったのですが、それでもぼくのことをよく気にかけてくれていました。
    就職が難しかったら自分とこで雇ってあげるなんて言ってくれた事もありました。
    思い出と言えば、親戚の結婚式でよくスピーチをしてくれていたのを思い出しました。
    結婚式のスピーチと言えば大概はつまらない退屈なものですが、伯父の話はとても心に響く内容で、そういうところもぼくが尊敬していたところです。
    あとリンクありがとうございます。
    ぼくの方がdebopさんのリンクを勝手に貼ってお知らせもしていませんでした(笑)

  5. 美雨 より:

    頑張れって使うのが難しい言葉ですよね。私は無責任な気がしてあまりこの言葉が好きじゃないです。悪い言葉ではないんですけどね。
    cremonaさんが伯父さんにかけてあげた言葉はとても優しさにあふれていると思います。おじさんもきっと喜ばれたことでしょう。
    私は祖父が亡くなった時にあまりお見舞いにいけなかったので、どうしてもっと会いに行ってやらなかったんだろう、やさしい言葉をかけてあげられなかったんだろうと今になって悔やまれます。
    伯父さんは最期にcremonaさんに会うことができてきっと幸せだったと思いますよ。

  6. cremona2003 より:

    美雨さん
    そのように言ってもらえるとありがたいです。
    ぼくも、祖母が亡くなったときは近所の病院だったにも関わらず会いに行きませんでした。
    その事があって、このときはわざわざ遠くまで会いに行こうと思ったのかもしれません。
    ただ伯父が好きだったからというのもありますが。
    頑張れという言葉は、全く使うなとは思いませんが、相手をよく見てからでないと追いつめることにもなるでしょうね。

  7. さやか より:

    「頑張れ」に対して私も賛成です。受験を控えた子や運動会が近い子には最適な言葉なんですけど。「自分の全てを出しきれ!」って伝えたい時に使う言葉ですね。
    でも、お母さんの気持も分かる気がします。「最後まで希望を捨てないで!」…少しでも「生きてほしい」というお母さんの気持ち…。
    叔父様の本棚から数冊いただいてきたとのこと。叔父様は嬉しいに違いありません。crenoma2003さんが尊敬していた様子もとてもよく伝わってきました。
    御守りを腕にとおして…のところは涙なしに読めませんでした。
    これからは叔父様はいつでもそばで見守ってくださいますよ…。
    ご冥福を、心からお祈り申し上げます。

  8. cremona2003 より:

    さやかさん
    唐突ですが、フルハウスの話です。
    10年後にコメディアンになるという目標の期限があと2週間に迫ったことを思い出したJoeyが、夢の実現に向けて動き出します。
    そこで、今Jesseと二人でやっていた仕事は全部任せてもいいかと聞いたときのJesseの台詞です。
    “Sure, I can do one account by myself. You have a dream. You gotta go for it.”
    ここでの「頑張れ」はとても好きです。
    伯父の事は今でも思い出すと涙が出てきます。

  9. おにぎり より:

    cremonaさんは、とても心優しい人だと感じました。
    伯父様も最期にcremonaさんに会えて嬉しかったと思います。
    「頑張れと伝えて」と言ったお母様の言葉を、そのまま伝えなかった事は正解だと思います。
    でも、お母様が間違っていたとは思いません。
    他の国の人がどんな風に「頑張れ」という様な言葉を使うのか分かりませんが、日本人は「頑張れ」という言葉に沢山の意味を込めて言うのだと思います。
    でも、その言葉を受け取る人の精神状態で、その言葉の意味が変わってきますね。
    なのであまり安易に使う言葉では無いのかもしれません。
    「頑張れ」に込めた意味を、「頑張れ」という言葉を使わずに表現したら、きっともっと良い言葉が出てくると思います。

  10. cremona2003 より:

    おにぎりさん
    母の思いもすごくよく分かります。
    伯父が入院したという知らせを聞いて一番心配していたのは母なので。
    伯父に無理して欲しいなんて思うはずもなく、元気になって欲しいとか苦しまないで欲しいという意味を込めて「頑張れ」と言ったのだと思います。
    >「頑張れ」に込めた意味を、「頑張れ」という言葉を使わずに表現したら、きっともっと良い言葉が出てくると思います。
    これは全くその通りですね。
    相手の事を大切に思うという気持ちには間違いないでしょうから。
    そういう様々な思いを「頑張れ」という言葉に纏めてしまうと、それが相手には伝わらない場合もあるということでしょうね。